キス魔な副社長は、今日も秘書の唇を貪る。~キスで力を発揮するハイスペ副社長に掴まりました~
その後、緋山さんは副社長の手によって解雇された。
容赦の無い副社長が下した処分に、怒らせると怖いと…少しだけ思った。
「茉佑」
「副社長……」
ある日の定時後。
いつになく疲労が滲み出ている副社長に、そっと抱き締められる。
「最近、色んな人に褒められるよ。俺の秘書さん、長続きしてるって。ありがとう、茉佑。俺を受け入れてくれて」
その言葉に、思わず頬が緩んだ。
「…野依副社長の、彼女ですから。当然です」
「ふふ、そうか」
副社長も微笑みながら私の頬に手を当て、唇を重ねる。
角度を変えながら何度も何度も、その行為を繰り返す。
「……茉佑、キスしたら…やる気が出てきた」
「え?」
そう言いながら私のブラウスに手を掛け、ボタンを外し始めた。
「え、ちょ、ちょっと副社長! 会社ではちょっと……!!」
「だめ?」
「駄目でしょう……!!」
副社長は唇を尖らせながら、外したボタンを閉める。
拗ねているかのような表情が可愛い。
「……分かった。今すぐ帰宅の準備をして。また、ホテルに行こうか……」
今度は艶めかしい微笑みを浮かべる副社長。
その表情に色気を感じ、私の身体も疼き始める。
副社長に向かって小さく頷き、微笑み返した。
そっと唇を重ねるだけのキスをして、2人で副社長室を後にする。
「茉佑、1つ言っておく。…俺は君を離すつもりは無いから…」
「………そのつもりです」
誰が居るかも分からない社内で
私と副社長は手を繋ぎ
離れないようにお互いの指を深く…強く絡めた────。
キス魔な副社長は、今日も秘書の唇を貪る。~キスで力を発揮するハイスペ副社長に掴まりました~ 終