キス魔な副社長は、今日も秘書の唇を貪る。~キスで力を発揮するハイスペ副社長に掴まりました~
「ただいま、藤堂さん」
「野依副社長…お帰りなさいませ」
部屋に入ってきた副社長から鞄を預かり、席に運ぶ。
副社長の顔には、いつになく疲労が滲み出ていた。
「本日もお疲れ様でした」
「ありがとう、藤堂さん」
そっと私に近づき、重ねられる唇。
また蕩けそうな副社長の瞳に、吸い込まれそうな感覚がする。
今までの歴代秘書さんたちにも、こんな感じだったのかな。
もしその秘書さんが既婚者や彼氏持ちだったとしたら…。
なんて…その先は、考えまい。
1つ言えるのは。
副社長、なかなか罪な人だ。ということだけ。
「唇…甘い」
貪るように吸われ甘噛みされ…今日もまた水音が響く。
…いつも思うけれど、『甘い』ってなんだろう。
別に何か食べているわけでもないし、リップを塗っているわけでもない。
副社長の言う『甘い』が良く分からないでいた。
「藤堂さん…。俺の頭、撫でて」
「えっ?」
「お願い、藤堂さん…」
そう言いながら私の左肩に頭を置く副社長。
嘘でしょ…。
有り得ないくらい心拍数が上がり、体が熱くなる。
当の副社長は頭を置いたまま、微動だにしない。
「…そ、そのようなご所望は…業務内容にありません」
「じゃあ…分かった。藤堂さん、頭…撫でて。これは、仕事です……」
仕事と言われたら、私には拒否権が無い。
「……はい、副社長。…分かりました」
震えを押さえながら、右手をそっと副社長の頭に乗せる。
ふわっとした髪に胸がときめく。
そんな副社長の頭を、ぎこちなく撫でた。
「…藤堂さん、ありがとう。気持ちいい…」
大人しく私に撫でられる副社長。
暫く撫で続けていると、満足した様子の副社長は顔を上げ、また私に濃厚なキスをした…。