キス魔な副社長は、今日も秘書の唇を貪る。~キスで力を発揮するハイスペ副社長に掴まりました~


「ただいま、藤堂さん」
「野依副社長…お帰りなさいませ」


部屋に入ってきた副社長から鞄を預かり、席に運ぶ。
副社長の顔には、いつになく疲労が滲み出ていた。


「本日もお疲れ様でした」
「ありがとう、藤堂さん」


そっと私に近づき、重ねられる唇。

また蕩けそうな副社長の瞳に、吸い込まれそうな感覚がする。


今までの歴代秘書さんたちにも、こんな感じだったのかな。



もしその秘書さんが既婚者や彼氏持ちだったとしたら…。

なんて…その先は、考えまい。



1つ言えるのは。
副社長、なかなか罪な人だ。ということだけ。



「唇…甘い」


貪るように吸われ甘噛みされ…今日もまた水音が響く。



…いつも思うけれど、『甘い』ってなんだろう。

別に何か食べているわけでもないし、リップを塗っているわけでもない。



副社長の言う『甘い』が良く分からないでいた。



「藤堂さん…。俺の頭、撫でて」
「えっ?」
「お願い、藤堂さん…」


そう言いながら私の左肩に頭を置く副社長。


嘘でしょ…。
有り得ないくらい心拍数が上がり、体が熱くなる。


当の副社長は頭を置いたまま、微動だにしない。


「…そ、そのようなご所望は…業務内容にありません」
「じゃあ…分かった。藤堂さん、頭…撫でて。これは、仕事です……」


仕事と言われたら、私には拒否権が無い。


「……はい、副社長。…分かりました」


震えを押さえながら、右手をそっと副社長の頭に乗せる。
ふわっとした髪に胸がときめく。


そんな副社長の頭を、ぎこちなく撫でた。


「…藤堂さん、ありがとう。気持ちいい…」


大人しく私に撫でられる副社長。

暫く撫で続けていると、満足した様子の副社長は顔を上げ、また私に濃厚なキスをした…。





< 7 / 25 >

この作品をシェア

pagetop