推しの育て方を間違えたようです~推し活に勤しんでいたら、年下王子の執着に気づけなかった~
花と星屑に囲まれた古城はとても幻想的で、パーティーも悪くないと思った。花に興味がないセドリックも、歴史的な建物であれば話は別かもしれない。
(この世界にも写真があったらよかったのに)
そうすれば、この幻想的な建物を見せてあげられたのだ。
主催だからと言って、ビルとサシャは先に会場へと行ってしまった。
ビルに「ミレイナ姉さんはゆっくり来て」と言われたので、焦らずに来たのだ。
今日は護衛騎士の一人がパートナーを務めてくれる。引きこもりのミレイナには専属の騎士はいない。
こうやって時々遠出するときに、エモンスキー家の騎士が数名同行してくれるのだ。
騎士の中に爵位を持っている者がいたため、パートナーを頼んだのである。
すぐに帰るつもりでいたので、パートナーなど必要ないと思った。しかし、アンジーが「知らない場所ですから、盾はお持ちになってください」と言ったので、素直に従うことにしたのだ。
困ったら、彼を盾にして逃げるつもりだ。
ドアコールマンに名前を呼ばれながら、会場に入る。人の視線がミレイナに集まった。
それだけで、すぐにでも帰りたい気分だ。
王都だったら、人も多いからここまで注目されない。
ミレイナが入場してすぐ、ビルとサシャが駆け寄ってきた。
「ミレイナお姉様、今日はお越しくださりありがとうございます。お姉様の好きな物をたくさん用意したので、楽しんでいってくださいね」
「ありがとう。こんなに盛大なパーティーだと思わなくて少し緊張しているの」
「ミレイナお姉様がいらっしゃると聞いて、参加希望の方が大勢いらしたんですよ」
「まあ……」
サシャの言葉にミレイナは辺りを見回した。