推しの育て方を間違えたようです~推し活に勤しんでいたら、年下王子の執着に気づけなかった~
 しかも今はまだ日が昇りきる前の朝。

 昨夜あんなことがあったとはいえ、昨日の今日で何かあったのだろうか。

「用件は聞いたの?」
「お嬢様にお会いしたいとのことでしたので、応接室にお通ししました」
「なら、急いで準備しましょう」

 マッサージは少しお預けだ。

 少しがっかりしたが、セドリックを待たせるわけにはいかない。だからといってこの部屋に呼ぶほどミレイナも馬鹿ではなかった。




 メイドたちの尽力により、いつもよりも早く準備ができた。応接室に入ると、セドリックは退屈そうな顔で本を読んでいる。

(来るなら先に連絡をくれればよろしいのに)

 そういうものだと聞いている。誰かに会いに行くときは事前に了解を得るのが基本だと。もし、緊急で会わなければならないときも、先に侍従の一人を行かせ、連絡をしておくのが基本だ。

 準備に時間がかかる。先に知らせることで、待つ時間と待たせる時間を短縮させることができるのだ。

 極めて合理的だと思う。

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