快晴の空に君の笑顔を探す
チャイムが響き、途端に賑やかになった廊下から男子生徒の声が聞こえる。

「あれ、花岡先輩じゃね?」
「ほんとだ、超手振ってる、かわい」

ほぼエスカレーターで入学できる隣の高校は、中学を卒業してもメンバーがあまり変わらない。

だから勿論、同じ中学に通っていた姉のことを今の3年生は、知っていて……。

姉を噂する声が背中から聞こえて、私は慌ててスマホを握った。

「見られてるからやめて!」

そのメッセを見た姉は、慌てて周りを見渡し、教室内の友人と楽しそうに笑っていた。

家では、私のことばかり気にかけてくれている姉が、楽しそうに友人と話している姿を見て、私は密かに安心する。

「あ、莉音さんじゃん?莉音さーん!!」

隣から聞きなれた声が聞こえて、振り向くと朱里が大きく手を振っていた。

微かに聞こえてくる笑い声と共に、莉音ちゃんが手を振り返す。

「朱里?どうしたの?」
「ん?随分長いトイレだなって思って」

そう言えば、そんなことを言って教室をでてきたのだった。思い出した私は苦笑いをする。

朱里の悪戯を仕掛けたような笑みは、私が授業をサボったことに対するからかいを含んでいて、私は曖昧に笑みを返す他なかった。

朱里が出てきて安心したのか、莉音ちゃんは教室に戻って行った。
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