快晴の空に君の笑顔を探す
「あれ?旭陽?えー!一緒に帰ってんのなんて久々じゃん!」

事の発端は、委員会終わりに一緒に下校している私たちと莉音ちゃんが遭遇したこと。

旭陽と話せるようになって、嬉しいを隠せられていなかった私のために、莉音ちゃんが企画してくれたのだ。

「旭陽、今年BBQしようよ!部活引退してんでしょ?」
「は?いや」
「覚えてる?5/5のこどもの日だからね!」

昔から、こどもの日のBBQは、花岡家では決まったこと。
幼い頃は、両親が共働きで忙しい旭陽を招待して、一緒にBBQをしていた。

それがもう一度出来るなんて、夢みたいで。

私は、キャンプ椅子の上でお肉を食べながら、幸せを噛み締めていた。

「ほんと久しぶりねえ!元気だった??」
「いや、毎朝挨拶するっすよ俺」
「違うじゃん、こんなふうに会うのは久しぶりじゃん」

以前の私なんかより、ずっと慣れた様子で会話をする母と旭陽に、少し複雑な気持ちになる。

「ほら、こっち座りなさい。手伝いなんていいから。澪音と莉音がやるから」

母から解放されたかと思えば、今度は父の隣に座って談笑に付き合わされる旭陽。

家族に馴染むその姿すら嬉しくて、私は近くにいた莉音ちゃんの手をぎゅっと握った。

泣きそうだった。

旭陽の変わらない優しさを見られて、好きだった恋心も思い出せて、私は幸せだ。

幸せなのに、思い出しつつある恋心を、これ以上望んではいけない現実が苦しかった。

だけど、そんな気持ちは隠さなきゃいけない。
ぐっと堪えた感情が、莉音ちゃんの手に力強く伝わってしまい、色々察した莉音ちゃんに優しく頭を撫でられた。
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