快晴の空に君の笑顔を探す
「旭陽が、私といるのが嫌だって言ったんだよ?」
「は?いや……え……?」

覚えの無い様子に、困惑する。

「え……まさか、噂が嫌で距離置いたことはあったけど、それじゃねーよな……?」
「理由なんて知らないよ、突然言われたんだもん」

気付けば向かい合って、言い合っていた私たちは、自らの記憶を探るように黙り込んだ。

「俺からしたら先に離れたのはお前だよ。何も言わずに急に転校して。特別な幼なじみだと思ってたのに、居なくなるまで俺は何も知らなかった」

「それはっ、だって、色々急なことだったし……。それに私は旭陽に嫌われてると思ってたから報告も出来なくて」

転校だと思われている、私の入院期間。

本当は、癌が見つかって、治療に専念するために通信制の学校に切り替えたのだけど。

病気だなんて伝えてほしくなくて、旭陽だけじゃなく、朱里にも大輝にも本当のことは伝えていなかった。

お互いの思い違いに、私達は目を見開いていた。
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