快晴の空に君の笑顔を探す
そんな風に、思ってくれてるなんて思わなかった。
温度が上がる頬を両手のひらで包み込んで丸くなる。

「旭陽……はっず!本気で言ってんの!?」
「あはは、拍子抜けしたんだけどー!やろやろー」

少しの沈黙の後、賑やかな笑い声が聞こえ、作業は再開されたようだった。

「お前らまじ、はっ倒すぞ」

からかわれた旭陽の口が悪いのはいつものことだけれど、楽しそうな空気が流れていてほっとする。

私は押えていた頬を小さく叩いて立ち上がった。

「ごめん、みんな放課後までありがとう……!」

教室へ入ると、声の正体だった女の子と視線が交わった。
何となく気まずい心を隠すように、私は笑顔を貼り付ける。

「ほんとだよー!うちら超頑張ってね?ほら、澪音もはやく手伝って!」

女の子の大きな動作に、隣にいた旭陽が大袈裟に身を仰け反らせる。

「ばか!刷毛振り回すんじゃねえ絵の具飛ぶだろ!」

私は思わず、貼り付けた笑顔なんて必要ないくらいに自然に笑ってしまった。

良い子なのだ。みんな、文化祭を楽しみたいのだ。
そんな良い部分を引き出す旭陽を尊敬していた。

刷毛を受け取って、作業をする旭陽の隣にしゃがむ。
視線があった彼は、小さく口角を上げて笑っていた。
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