快晴の空に君の笑顔を探す
クラスの中心で、決して優等生では無いけれど、間違いなく人を惹き寄せる。

三浦(みうら) 旭陽(あさひ)は、
私、花岡(はなおか) 澪音(みお)の幼馴染だった。

もう、何年も口を聞いていないけれど。
それでも、特別だと思ってしまうほどに、仲の良い幼馴染だった。

遠くに見える笑顔に、親しかった頃の彼の笑顔が重なる。

苦しいほどに変わっていないのだ。

私の知っている旭陽は、昔からずっと、クラスの中心で笑っていた。
周りを笑顔にしてしまうあの笑顔は、私が大好きだった、初恋の笑顔のまま、ずっと変わらない。

この春、中学3年生になった私と旭陽は、5年の時を経て、小学4年生ぶりに同じクラスになった。

華やかで、人目を惹く彼に、私は今も目を奪われている。
幼くて未熟な初恋の心を抱いていた5年以上前の頃から、変わらず、今も。

見つめすぎていたからだろうか。

ほんの一瞬、こちらに目を向けた旭陽と視線が合う。
途端にドクりと落ち着かない音を立てた心臓に、私は頬杖を離した。

目が合った彼は、誰にでも分け隔てなく向ける笑顔を崩した。

スっと目が細められ、口角が下がる。
そのあからさまな表情の変化に、頭がひんやりと冷えていく感覚がした。

ほんの一瞬、だけど長く感じるような息が詰まる瞬間。

その視線が外されると同時に、どっと力が抜けた私は、小さくため息をついて立ち上がった。

「澪音?もう授業始まるよ?どこ行くの?」
「ちょっとトイレー」

不思議そうな朱里に適当に手を振って教室を出る。

扉を閉めた教室からは、変わらない旭陽たちの笑い声が聞こえてきた。
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