快晴の空に君の笑顔を探す
#2 受け入れた現実
小学4年生の頃に患った小児がんの転移が見つかったのは、今から2ヶ月前のことだった。
「早く!遅刻しちゃうよ!」
教室から音楽室へと向かう、ほんの少しの階段移動で息が上がり、足が上手く回らなくなる。
脳貧血でも起こしているかのように、ジンジンと響く頭痛と冷たい指先。
「あーっ、私、楽譜忘れてる!朱里、先行って!」
「えっ!?もう!ただえさえ遅刻多いのに!上手く言っとくから急いでね!」
もう動けないと感じ、咄嗟に口にした適当な理由を朱里は素直に受け取って階段を駆け上っていった。
朱里が見えなくなるまで、口角を上げひらひらと手を振りきり、大きく息を吐く。
少し前から疲れやすいとは思っていた。
登下校ですら辛い日があって、走れなくて、遅刻が増えて。
いま考えれば、おかしいと思う前兆は沢山あった。
「少しくらい、運動しないと……」
だけど私は、長い闘病生活と制限されている運動による体力不足だと、思い込んでいた。
だから、こんな些細な移動で疲れるほど進行するまで、私は異変に気付けなかったのだ。
「早く!遅刻しちゃうよ!」
教室から音楽室へと向かう、ほんの少しの階段移動で息が上がり、足が上手く回らなくなる。
脳貧血でも起こしているかのように、ジンジンと響く頭痛と冷たい指先。
「あーっ、私、楽譜忘れてる!朱里、先行って!」
「えっ!?もう!ただえさえ遅刻多いのに!上手く言っとくから急いでね!」
もう動けないと感じ、咄嗟に口にした適当な理由を朱里は素直に受け取って階段を駆け上っていった。
朱里が見えなくなるまで、口角を上げひらひらと手を振りきり、大きく息を吐く。
少し前から疲れやすいとは思っていた。
登下校ですら辛い日があって、走れなくて、遅刻が増えて。
いま考えれば、おかしいと思う前兆は沢山あった。
「少しくらい、運動しないと……」
だけど私は、長い闘病生活と制限されている運動による体力不足だと、思い込んでいた。
だから、こんな些細な移動で疲れるほど進行するまで、私は異変に気付けなかったのだ。