快晴の空に君の笑顔を探す
私と莉音ちゃんが寝る寝室は、リビングをスライドドアで仕切った隣の部屋。

元々は、広々としたリビングとして使っていた間取りを、私が家で過ごすと言った日から変更して使うようになった。
寝室で寝ていても家族団欒の中に混ぜてもらえるのは気持ち的に救われる。

「莉音ちゃん、ごめん……」

ベッドに横になってからも泣き続ける私。
莉音ちゃんは、ベッドに腰を下ろして、私の頬を優しく拭った。

「ううん、澪音もちゃんと泣けるんだなって、ちょっとほっとした」

優しい笑顔に、私はまた顔を歪める。

「旭陽には?」

意思確認をしてくれた莉音ちゃんに、私は黙って首を横に振った。

「分かった」

そう頷いた莉音ちゃんは、少しだけドアを開けて、母と旭陽がいるリビングへと戻って行った。

「今までずっと誤魔化しててごめんね、旭陽。
澪音ね、病気なの。だから休みがちなんだけど、澪音がサボりで誤魔化そうとしてたんだよね」

隣の部屋の会話は、耳を澄ます必要もなくはっきりと聞こえてくる。

「どっか悪いとは思ってましたけど、そんな悪いんすか?」
「ううん大丈夫。体調が優れない時期があるだけだから」

私の意思を貫くように、莉音ちゃんは病状を誤魔化して伝えた。

「澪音と直接話させてもらえませんか?」

それでも旭陽は、頑なだった。
やんわりと莉音ちゃんが伝えていた「話す気はない」という意思を聞き入れる気はないそうだ。

私は隣の部屋でその声を黙って聞いていた。

元々は別に頑なに隠していたわけではいなかったけれど、旭陽の思いを知れば知るほど、悪くなる一方の現実を伝えられることはできなくなっていた。
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