快晴の空に君の笑顔を探す
「だけどね、今年の2月に、転移した癌が見つかったの。ほら、運動も制限されてたし、体調優れないのも運動不足のせいにしちゃってて、気づくのが遅れたの」

本当は、違うと言い聞かせていた気持ちもあったのかもしれない。

もしこれで、再発だったら。またあの苦しい日々が来るとしたら。
そんな想像を一切しなかったといえば、もちろん嘘になるから。

「病院に行った時には、もう手遅れだった」

再発までの経緯を説明すると、旭陽は黙り込む。
悔しそうな表情に、固く握られた手。

私はそれが悲しくて、頬を緩めながらも目を逸らした。

「納得してるんだ。受け止めて、後悔がないようにって毎日必死で楽しんできた。
だからね、旭陽とも無理やり仲直りをしようとした。
完全に私の都合で、旭陽に近付いたの。こんなふうに巻き込んじゃうなんて想像できなかった私のせい。本当にごめん」

私の手を握る力がぐっと強まる。
痛いほどの力に、旭陽を見上げると、彼は泣きそうな顔で顔を横に振っていた。

その表情に、私の涙腺は再び刺激される。
話していないと、感情が溢れ出す気がして、とにかく話し続けた。

「旭陽と仲直りできて、昔みたいに話せるようになって嬉しかったよ。もうこれで心残りは何も無いって。最後まで仲良くしていたいって、思ってた。

だけど、関われば関わるほど旭陽のことが好きになる。そしたら、どんどん自分の未来が無いことが辛くなった。
一緒にいたい。もっと生きたい。満足してたはずなのに欲が止まらなくなって。

早く離れないとって思うようになった」
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