生まれ変わるきっかけをくれたのは彼でした~元同級生からの甘い溺愛〜

 櫻井先生とのおしゃべりに満足して自分の席に戻ってくると、まだ一人の男性の周りに人だかりができていた。

 誰…?有名人とかではないよね…?

 こんな人いたっけ?と再び私が高校二年生の記憶を遡っていると、


鳴海(なるみ)くん!?本当にあの鳴海くんなの!?」
「鳴海!お前変わりすぎだろ!」

と驚きの声が聞こえてきた。

 鳴海…鳴海、鳴海くん………。


「な、鳴海くんっ!?!?」


 私は驚きのあまり立ち上がってしまった。

 声が大きかったようで、ちらちらとこちらを見るクラスメイト達。

「あれ誰?」「あんな太ってる人いた?」「誰だっけ…?」とひそひそ声が聞こえる。

 クラスでも悪口を言われたり、馬鹿にされていたと記憶しているけれど、やはり当の本人達は覚えていないようだった。

 私は恥ずかしくなって、慌てて席に着いた。 

 するとガチャンっと音を立てて、ビールジョッキが倒れてしまう。

 残り少なかったとはいえ、机にビールが零れてしまった。


「あ、あ、布巾!」


 テーブルの隅に置いてある布巾に手を伸ばしていると、誰かがさっと机を拭いてくれた。


「あ、ありがとう…」


 お礼を伝えながら顔を上げると、先程まで話題の中心にいた鳴海くんが優しく微笑んでいた。

 私はぱっと視線を下げる。

 鳴海くん…なんだよね?

 学生の頃とは全然違う。

 鳴海くんってこんなにかっこよかったっけ…?

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