生まれ変わるきっかけをくれたのは彼でした~元同級生からの甘い溺愛〜

 鳴海 崚(なるみ りょう)くんは、私の初恋の人だった。


 お互いクラスでは全く目立たない方だった。

 鳴海くんはいつも一人で本を読んでいたし、私は友達がいなくて独りぼっちだった。

 そんな私と鳴海くんの接点が生まれたのは、図書委員会の当番。

 同じクラス、同じ曜日の当番で、私達は少しずつ話をするようになった。

 鳴海くんは当時から太っていた私にも、分け隔てなく接してくれた。とても優しい人だった。


 でもそれきり。

 図書委員の当番がなくなって、私達は教室で話すこともなくなってしまった。

 私はその時になってようやく、自分が鳴海くんを好きなことに気が付いた。

 けれど、それに気が付いたところで、何が変わるわけでもなかった。

 私なんかが鳴海くんに話し掛けるなんて、迷惑でしかない。

 太ってる私なんかと一緒にいたら、きっと鳴海くんが馬鹿にされてしまう。

 だから私は、鳴海くんに話し掛けることができなかった。

 教室の隅で、同じように本を読んでいる鳴海くんを、ただただ眺めることしかできなかった。


 そうして私の初恋は終わったのだ。

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