生まれ変わるきっかけをくれたのは彼でした~元同級生からの甘い溺愛〜

「佐藤さん」

 鳴海くんに呼び掛けられて、私の心臓がドキッと跳ねた。

 鳴海くん、私のこと覚えててくれたんだ…。


「佐藤 美那さん、だよね?」
「な、鳴海くん…久しぶり…」


 私の初恋の人が目の前にいる。

 すっかりかっこよくなって、きっと彼女もいて、仕事も順風満帆なんだろうなぁ。

 それに比べて私は、高校生の頃から何も変わっていない。

 太ったまま、みんなに馬鹿にされたまま。

 自分を変えることもできず、ただただ怠惰に過ごしている。

 恥ずかしくて、目を見て話すことができなかった。


「佐藤さん、このあとちょっと話せる?」
「え……?」


 返事をする間もなく、鳴海くんは呼ばれて行ってしまった。

 え?この後ってどの後?待ってろってこと??

 その後もご飯を食べながら鳴海くんを待っていたけれど、彼は人に囲まれてなかなか戻ってこなかった。

 もう帰ろうかな…。

 櫻井先生にはちゃんとご挨拶できたし。

 鳴海くんは、…私になにを話したかったんだろう…?

 気にはなるけれど、住む世界の違う人だ。私なんかといても、迷惑になるだけ。

 私はこっそり席を立つと、同窓会の席を後にした。

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