生まれ変わるきっかけをくれたのは彼でした~元同級生からの甘い溺愛〜

「二人で飲み直さない?」


 鳴海くんの誘いに、私はほいほいとついてきてしまった。
 鳴海くんに連れて来られたお店は、お洒落なバーだった。静かで、穏やかなジャズが流れている。


「佐藤さんはお酒強いの?」
「あ、いや、そうでもないかも…」
「じゃあ、度数低めのカクテルにしようか」
「あ、うん…」


 高校の頃の同級生とこんなお洒落なバーに来るなんて、大人になったんだなぁ、としみじみ感じる。

 年齢だけ重ねてしまったような気もするけれど…。


「急にごめん、帰り急いでなかった?」
「あ、うん、大丈夫」
「よかった」


 あまりにかっこよくなってしまってびっくりしたけれど、話し方も表情も私の知っている鳴海くんだ。なんだかほっとする…。


「佐藤さん、元気だった?」
「あ、うん、元気」
「今はどんなお仕事を?」
「小さい会社だよ。そこで経理として働いているの」
「そうなんだ」
「鳴海くんは、きっと大きいいい会社で働いてるんだろうね」


 高校生の頃から鳴海くんは成績が良かった。学年でも一桁に入るくらいの成績だったと思う。


「いい会社かどうかは分からないけど、父の会社で働いてるんだ。来週には、俺が社長として就任することになってる」
「ええ!すごい!社長さん!?鳴海くんって相変わらずすごいんだ…」


 私の言葉に、鳴海くんは少し困ったように眉を下げた。

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