生まれ変わるきっかけをくれたのは彼でした~元同級生からの甘い溺愛〜

「櫻井先生、結婚かぁ…」


 どんな人と結婚されるんだろう。先生可愛いし、きっとモテただろうなぁ。

 櫻井先生には、とてもお世話になった。

 当時から太っていた私は孤立することが多く、一人でいる私を見かけると櫻井先生はいつも声をかけてくれた。

 担任の先生ということもあって、進路相談にもかなり乗ってもらったっけ。

 大学も決められなくて、放課後、櫻井先生とあーだこーだ言い合った。

 私にとって櫻井先生は、友人のような、それでいて信頼のできる唯一の大人だった。


「櫻井先生…会いたいなぁ…」


 高校を卒業してからは、全然会えていない。

 それこそ大学生の頃は年賀状のやり取りなどもしていたけれど、今はラインで挨拶をする時代だ。年賀状を送ることもなくなってしまった。

 櫻井先生にはぜひ会いたい。

 会って学生時代にお世話になったこと、ちゃんとお礼を言いたい。

 櫻井先生がいたからこそ、私は休むことなく学校に通えていたのだから。

 でも…。


「同窓会ってことは、当然クラスの子もくるよね」


 同窓会なのだから当たり前だ。

 櫻井先生と当時D組だったメンバーが集まるのだ。


「櫻井先生には会いたいけど、みんなには会いたくないな…」


 仲の良い友達はいないし、そもそも当時からこの太った体型を馬鹿にされていたのだ。

 今行っても同じだろう。昔みたいに馬鹿にされるだけだ。

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