小林、藝大行くってよ
今江教授とセクシー岡田教授も助手コンビも他の連中も、全員おれの絵に釘付けや。ああッ!カ・イ・カ・ン!
「えー非常に繊細な筆づかいですね。小林君は、鳥を描く時に何を意識しているんですか?」
「それは……PASSION and LOVE……ですッ!」
今江教授の問いに、流暢な英語で答えるおれ。いやッ!かっこええッ!セクシー岡田教授も、大きく頷いとるで!
「私も情熱と愛は大好きよぉ。芸術には不可欠よねぇ」
「鳥が好きだという情熱……ですね?」
「はいッ!好きやから、よーく観察できますよって!鳥を理解し、鳥になりきる!そしたら分かりますねん!この鳥が、おれにどないな絵を描いて欲しいと思てるか!」
「鳥の気持ちが分かるのねぇ。素敵よぉ」
ええやん!めっちゃええ感触やん!おれの才能に、全員が度肝を抜かれとる!やはり世は正に、大KOBAYASHI時代ッ!
「おれの夢は、鳥という鳥すべてをこの手で描くことッ!最終的には幻の鳥ケツァールをこの目で見て描くことですッ!よろしゅうたのんますッ!」
最後に壮大な夢を語って、おれの自己紹介は終わった。ひと仕事終えた気分だ。
ふっ……全員からの尊敬の眼差しが突き刺さっているぜ。どうやら、この藝大に稀代の天才が舞い降りたことを実感したようだな。
それから数人の自己紹介の後、ヒデの番が回ってきた。ヒデが美人画を描いとることはこの前聞いとったし、写真も見せてもろた。めちゃくちゃかっこええ、現代的な美人画やったな。
「菱川師宣や喜多川歌麿の美人画に感銘を受けて、現代における美人画を追求したいという想いで絵を描いています。特に表現したいのは、生命を生み出す女性の神秘性と力強さです」
ヒデも緊張はせえへんタイプなんかな。いつもと変わらん調子で、淡々と喋っとった。
そして浅尾っちは人の話は聞いてなさそうやのに、スクリーンに映し出される作品には、じっと視線を向けとる。きっと勉強熱心なんやろな。
中には、まだ本格的な日本画を描いたことがないっちゅー奴も数人おった。それでもめちゃくちゃ完成度の高い水彩画を描いとるし、やっぱ藝大に入る人間はさすがやな。
自分に自信を持つことと他人のレベルの高さを認めることは、まったく別の話や。絵の表現は十人十色。自分にできる精一杯を表現できたのなら、ほんまはそこに優劣なんかないはずやねん。
せやからおれは、いつでも自分に自信を持っとる。少なくともここにいる誰よりも、鳥のことを理解しとるしな!
「じゃー最後……米田さんねー」
「はぁい」
とんとんと進んだ自己紹介。オーラスは、ベレー帽を被ったおさげの女子生徒やった。丸メガネを手で上下させながら、パソコンをいじっとる。
「米田真帆ですーコメダと書いてヨネダですーよろしくお願いしまぁす。名古屋の出身でー高校はデザイン科でしたー」
なんやえらい間延びした喋り方するやっちゃな。癒し系か。
せやけど次の瞬間スクリーンに映し出されたものを見て、おれはビックリ仰天した。
「えー非常に繊細な筆づかいですね。小林君は、鳥を描く時に何を意識しているんですか?」
「それは……PASSION and LOVE……ですッ!」
今江教授の問いに、流暢な英語で答えるおれ。いやッ!かっこええッ!セクシー岡田教授も、大きく頷いとるで!
「私も情熱と愛は大好きよぉ。芸術には不可欠よねぇ」
「鳥が好きだという情熱……ですね?」
「はいッ!好きやから、よーく観察できますよって!鳥を理解し、鳥になりきる!そしたら分かりますねん!この鳥が、おれにどないな絵を描いて欲しいと思てるか!」
「鳥の気持ちが分かるのねぇ。素敵よぉ」
ええやん!めっちゃええ感触やん!おれの才能に、全員が度肝を抜かれとる!やはり世は正に、大KOBAYASHI時代ッ!
「おれの夢は、鳥という鳥すべてをこの手で描くことッ!最終的には幻の鳥ケツァールをこの目で見て描くことですッ!よろしゅうたのんますッ!」
最後に壮大な夢を語って、おれの自己紹介は終わった。ひと仕事終えた気分だ。
ふっ……全員からの尊敬の眼差しが突き刺さっているぜ。どうやら、この藝大に稀代の天才が舞い降りたことを実感したようだな。
それから数人の自己紹介の後、ヒデの番が回ってきた。ヒデが美人画を描いとることはこの前聞いとったし、写真も見せてもろた。めちゃくちゃかっこええ、現代的な美人画やったな。
「菱川師宣や喜多川歌麿の美人画に感銘を受けて、現代における美人画を追求したいという想いで絵を描いています。特に表現したいのは、生命を生み出す女性の神秘性と力強さです」
ヒデも緊張はせえへんタイプなんかな。いつもと変わらん調子で、淡々と喋っとった。
そして浅尾っちは人の話は聞いてなさそうやのに、スクリーンに映し出される作品には、じっと視線を向けとる。きっと勉強熱心なんやろな。
中には、まだ本格的な日本画を描いたことがないっちゅー奴も数人おった。それでもめちゃくちゃ完成度の高い水彩画を描いとるし、やっぱ藝大に入る人間はさすがやな。
自分に自信を持つことと他人のレベルの高さを認めることは、まったく別の話や。絵の表現は十人十色。自分にできる精一杯を表現できたのなら、ほんまはそこに優劣なんかないはずやねん。
せやからおれは、いつでも自分に自信を持っとる。少なくともここにいる誰よりも、鳥のことを理解しとるしな!
「じゃー最後……米田さんねー」
「はぁい」
とんとんと進んだ自己紹介。オーラスは、ベレー帽を被ったおさげの女子生徒やった。丸メガネを手で上下させながら、パソコンをいじっとる。
「米田真帆ですーコメダと書いてヨネダですーよろしくお願いしまぁす。名古屋の出身でー高校はデザイン科でしたー」
なんやえらい間延びした喋り方するやっちゃな。癒し系か。
せやけど次の瞬間スクリーンに映し出されたものを見て、おれはビックリ仰天した。