幻冬のルナパーク

築山に呼ばれて

「よう。元気にしてたのか？」



桜のつぼみが春風に緩み始める頃、私は築山と一緒に横浜の小さなレストランにいた。築山から生活が落ち着いたらご飯でも行こうと誘われていたのだ。



「うん、もう元気だよ。いろいろと心配してくれてありがとう」私が言った。



「そうか。良かったな」築山が言った。しかし今日はなんだか浮かない表情をしている。



「どうしたの？　疲れた顔してるような気がするけど。仕事で何かあったの」



「いや、今日休みだったんだけど、急に夜勤になったんだよ。なんか北乃さんがノロウイルスにかかって、仕事に来れないみたいで。今病棟で流行ってるんだよな」



「えっ、絵海……いや、北乃さんが？」



「そうだよ。ああいうのってひとり気づいたときにはもう何人かに感染した後だったりするからほんと嫌だよな」築山がため息をついた。「それで、北乃さんが休んだ代わりに俺が夜勤に出ることになったわけ。だから、そんなにゆっくりできなくなった。３時には帰らないとな」彼が腕時計に目をやって言った。「まあ、とりあえず食べよう」



築山がそう言って、私はキーマカレーを、築山はハンバーグを頼んだ。料理はそれほど待たずに運ばれてきて、私たちは近況をしゃべったり最近の流行の音楽の話などをしながらそれを食べた。築山は自分の応援しているサッカーチームの話もしていた。

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