幻冬のルナパーク
水上 玲(みずかみ れい)
2年前の春、私は大学を卒業して多くの新人看護師たちと同じように大きくて安定した病院へと就職した。
横浜の外れにある、安い寮の付いた病院だった。
寮と言っても普通のアパートとなんら変わりのない、薄汚れた鉄筋コンクリートの二階建ての建物で、十数人ほどの病院関係者がそこでそれぞれ一人暮らしを送っていた。
病院はそのような職員寮を数軒所有している。
そこに住んでいれば、通勤は歩いて十分ほどで済む。
室内は家電もあらかじめついていて、ユニットバスという点を除けば、概ね快適な1DKの一室だった。
務めている病院には毎朝バスでたくさんの患者たちがまるで工場労働者のようにやって来ては、待ち時間が長いやらあの先生はよく診てないんじゃないかなどの不満を漏らしながら帰っていった。
近くにはスーパーやドラッグストアが並び、様々な飲食店や銭湯も徒歩圏内にあった。
そういうわけで私は初めての一人暮らしを、サービス豊富な高級老人ホームのように整った環境で開始することができた。
しかし仕事は予想以上に大変で、毎日疲弊していた。
横浜の外れにある、安い寮の付いた病院だった。
寮と言っても普通のアパートとなんら変わりのない、薄汚れた鉄筋コンクリートの二階建ての建物で、十数人ほどの病院関係者がそこでそれぞれ一人暮らしを送っていた。
病院はそのような職員寮を数軒所有している。
そこに住んでいれば、通勤は歩いて十分ほどで済む。
室内は家電もあらかじめついていて、ユニットバスという点を除けば、概ね快適な1DKの一室だった。
務めている病院には毎朝バスでたくさんの患者たちがまるで工場労働者のようにやって来ては、待ち時間が長いやらあの先生はよく診てないんじゃないかなどの不満を漏らしながら帰っていった。
近くにはスーパーやドラッグストアが並び、様々な飲食店や銭湯も徒歩圏内にあった。
そういうわけで私は初めての一人暮らしを、サービス豊富な高級老人ホームのように整った環境で開始することができた。
しかし仕事は予想以上に大変で、毎日疲弊していた。