幻冬のルナパーク

違和感の別れ

冬になりボーナスが振り込まれて、なんとなくもう辞めてもいいかなと思った。



毎日鉛のような重い気持ちで生きていくことが、誰のためになるのか分からない。



 頃合いを見計らって、師長に退職の相談をした。



案の定「これだから最近の若い人は」という呆れた目つきでもう少し頑張ってみなさいと言われたが、夜勤を含め身体がきついので、いずれにせよ長くは続けられないと思うと伝えた。



最終的に今月いっぱい働いて、来月は有給を消化して辞めることになった。



将来への不安はあるものの、私にとって仕事を辞めることができるのはこれ以上なく嬉しいニュースのはずだった。



しかし魚の骨がのどに刺さって取れないように、何かが私の心に四六時中引っかかっていた。



大事なことを見落としているという焦りを抱えながら、残りの出勤日を過ごしていた。
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