大好きな幼なじみと秘密の関係はじめます


「えっと……市ヶ谷、先生」


恐る恐る口に出す。

慣れない感じが少し恥ずかしい。

ちらっと覗いてみると、その顔は柔らかに綻び。


「よくできました、栢野さん」


──ドクンッ。


わーーっ。

どうしよ、心臓がキュッて掴まれちゃった。

〝栢野さん〟なんて初めて聞いたし、照れちゃうっていうかなんていうか……。


「市ヶ谷先生私もー!」

「私もー!」


わあっ!?

ドンッといきなり押し寄せてきた人波に弾き飛ばされてしまった。

私はバーゲンセールの争奪戦に負けた人のように呆然と立ち尽くす。


「ねぇねぇ、宙先生って呼んでもいいですかーあ?」

「ん、構わないよ」

「やったー」


はは……は。

さすが宙くん。もう人気者だ。

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