大好きな幼なじみと秘密の関係はじめます
……相変わらず、アイドルみたい。
初日より騒ぐ声は落ち着いたとはいえ、やっぱりオトナの男性……特にイケメン男性は女子高生の目にかなり魅力的に映るらしい。
「ところで栢野さん。また〝宙くん〟に戻ってるよ?」
「あっ」
ほんとだ、忘れてた……って。
「そ……市ヶ谷先生には言われたくないです!」
「あー。ははっ」
「もう、ははっじゃないよ」
忘れもしない。
今日の3時間目の授業のことだ。
『この問題わかる人』っていう宙くんの問いかけに手を挙げた私。
そんな私を宙くんが当ててくれたのは、もちろん良かったんだけど。
『はい、じゃあ……みなみちゃん!』
って。
名前呼びはダメだって言ってた本人がやらかすのは如何なものでしょうか?
とにかくその時の教室のざわめき様は尋常ではなくて。
しまいには、
『ねえ、みなみって市ヶ谷先生と特別な関係って本当?』
『市ヶ谷兄弟と3人で付き合ってるの?』
なんて、噂好きの女の子たちからあることないこと言われる始末。
『先生はただの幼なじみだよー』とは伝えたけど、それが正しく受け取ってもらえているのかどうか。