大好きな幼なじみと秘密の関係はじめます
……じゃなかった。
そっかあ、いいんだ。
付き合う前はあんなに嫌そうに睨んできたのにね。
恋人ってすごい。
すごすぎる。
「んだよ、その顔」
「だって嬉しいもん」
こんな特大特典を用意してくれるなんて、聞いてないし。
昨日のは夢じゃなかったんだって、身をもって再確認させられたら、ね。
「……なら俺も」
「へえっ?」
と、急に絡めた腕に力が籠ったかと思えば、見上げた先には視線の逸らされた顔。
「こうしたいのが自分だけとか思うなよ」
「……うんっ!」
ああもうっ。
こんなに幸せすぎていいのでしょうか……?
……とか浮かれていたら、もう教室前に来てしまった。
やっぱり楽しい時間は刹那のひと時みたい。
彗と同じクラスだったら〜なんて毎回悲しい気持ちになる私だけれど。それはもう来年のクラス替えに期待ということで、我慢だ。
「じゃあまたね」
その代わりにとぎゅーっと前から彼を抱きしめ、大好きな匂いに包まれたら、充電完了。
これからはできるだけ帰りも一緒に帰ってくれることになってるし、それを楽しみに授業も頑張ろっと。