大好きな幼なじみと秘密の関係はじめます
「……」
押しに押しまくり、無理やり金魚すくいに参加させたんだけど。
彗の手には大きく穴のあいたポイと、水だけ入った容器。
そして、放心状態の顔。
「そ、そんな時もあるよ」
ズーンと落ち込んで見える彗にかける言葉を探して、やっと出てきたのはそんな一言だった。
「だからやだったのに」
そうだ。
彗ってなんでもできそうなのに、意外とこういうの苦手だったんだ。
……そういえば宙くんが無双する中、私と彗は仲良く悲惨な結果に終わったような、そんな気がしてきた。
だけどそんなに落ち込むことないのに。
彗は「だせぇ」なんて言って顔を隠してるけど、私はそういうところ好きなんだけどな。
勉強も運動もできちゃういつもの彗がかっこいいのは、勿論。
可愛い一面も素敵じゃない?
「ふふっ」
「……笑うな」
「っ、違うよ、そういうのじゃ……」
え?
ちょっと待って。
目に映ったその姿に私は驚いてしまった。