アラ還も、恋をするんです。
環からプレゼントを受け取った時、30日の大掃除の後、夕方に病院前のレストランまで来てほしいと言われた。
あまりにも真剣に話すから、
「夕方からって仕事?」って、聞いたら、
「…、まあね」と。
郁じゃないなら、外科的な問題?
30日でも良いなら急ぎでは無さそうだ。

とりあえず、了解と返事する。

病院前のレストラン、嫌な記憶が蘇る。

すでに環は待っていた。
もう一人の女性と一緒に。

「紹介するね。 橘樹紗依ちゃん」
緊張が一気に高まる。
オペなんかと比べものにない緊張感。
こういう時、なんて挨拶すべきなんだ?
ペコッと頭を下げてとりあえず掛ける。

環を睨みつけるが気にもとめてない。
少しの沈黙の後、
「母とはどんなお付き合いなんでしょうか」
どんなと言われても『大人のお茶のみ友達』とは言えないし。
ここは正直に応えないと。
責めてるわけでは無いがかなり心配をしているんだろう。

「ん。大切に思ってる。
でも、どんなと聞かれたら自分も今のところ分かってないし、修行中」
納得できない答えなのに、
「一日、楽しみにしています」と。
この親子、似ているなぁ。
お互いに対する思いやり。
大切に思ってる気持ちがますます大きくなった。

黙って聞いていた環は、少々ニヤけて、
「これから私たち、女子会に行ってくるから」
と言って、手をだした。
こづかい貰って、二人で店を出て行った。


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