アラ還も、恋をするんです。

『契約』と言う文字が取れて、先生は急に無口になった。
本当は、もともと無口な人だったのだと思う。
仕事での必要な事はすらすら話しているけれど、プライベートでは自分の気持ちも、必要なことさえもほとんど話さない。
きっと『契約』はビジネスだったんだ。

周りの人達がおしゃべりだったからかな。
だから今までいっぱい誤解を招いていたんだ。

最近の週末はほぼ一緒に過ごしてる。
金曜日、夜ご飯を食べて、デザート買って先生のマンションに行って。

主人の一周忌までは『大人のお茶のみ友達』でいたいと言ったら、守ってくれている。
私だけの気持ちの問題なんだけど。
申し訳ないけどありがたい。
ちなみに『大人のお茶のみ友達』とは、お茶のみ友達以上恋人未満というやつで、そこそこ健全なお付き合いをしている。
大人の…、というのはお酒ぐらいは飲みにいってるし、夜は一緒のベッドで休んでる。
でもそこまで。
色々我慢させているのかな。
でも50過ぎて、しかも色気のない『おばあちゃん』相手、これぐらいの付き合いがちょうど良いかも知れない。
もしかして我慢なんかもしてないような気もしてきた。


< 2 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop