アラ還も、恋をするんです。
その後も何か言いたげにもぞもぞしてる。

「喪中だから、結婚は秋にしようと思ってる。
ただ、今住んでる家を二世帯住宅にしたい
建て直したいの」と。

確かに主人が亡くなって、家の名義を娘にした。
二重相続のことを考えて。
私は永住権があるからそのまま住んでていずれ娘にと思ってたけど、まさか二世帯住宅なんて考えてもいなかった。
嫁いだあと、寛げる実家があれば位に思ってた。
あまりの展開についていけず、何も言えなくなった。

そこで匠先生がシャンパンを持ってやって来た。
「とりあえず、婚約のお祝いしよ
それからの話は追々ね」
先生がいてくれて良かった。
止まってた空気が動き出した。

お酒が入って、もともとお喋りな紗依は、
「匠先生、建て替えの間、母を預かってもらえませんか」
何を馬鹿なことを言う。
「追々ねって言ってたでしょ。
それに、もしそうなってもウイークリーマンションがあるし
後、克君のご両親はなんて」
「俺、三男だし兄貴が同居してるから問題ないです」

紗依を宥める克君は大変だ。
何とか話を進めたい酔っ払いは
「今日はお母さんと寝る」と言って、私のベッドに倒れ込んだ。


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