アラ還も、恋をするんです。
早めに着いて、一人で入ったカフェにあのOJTだった小林さんがいた。
30年間会わなかったのに、また会うなんて!

「…、会えた。…、久しぶり」
いや、この前は本当に久しぶりだったけど、今度はこの前に比べたら全然久しぶりではないよね。
「偶然じゃないんだ」
「?」
「出張の度、泊まりにして、由佳が通らないかコンコースを眺めてた。
連絡先、聞かなかった事、後悔して」

どうして?
何が起こってるのか分からない。
「ずっと気になっている事があって。
前回会ったとき、ご主人が亡くなって直ぐだとた聞いて…。
あの時は聞けなかった」
「??」
この前会ったとき、何を話したかなぁ。
バタバタしてたけど、普通に近況を話したような気がするんだけど。

「昔、付き合ってる人がいないって言ったの覚えてる?」
そりゃ覚えてますよ。
結構引き摺ってますから。
「あの時、付き合ってる人、いたでしょう」
はぁ、何でそうなる?
小林さんが付き合ってる人いないって言ったから、
私もいないって言ったのに。
やっぱり、言わないとダメなやつだ。

お互い誤解が解けて、同時に大きなため息をした。
「実は、親の会社を継ぐために退職とき、由佳を連れていきたかったんだ、…でも、諦めて。
で、もう後悔したくないから。
ご主人が亡くなって直ぐだといくら何でもって思って。無謀だけどここで待ってた。
無理だと諦めてだけど、少し夢見て。
とりあえず、連絡先、教えて」

これは、誤解を解くため?
告白ではないよね?
いやいや、いくら何でもこんな私なんかには。
これからの人生のお友達、また出来たかも。

そこへ匠さんがやって来た。



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