アラ還も、恋をするんです。
お店の中には、お見舞に来ている人や遅めのランチの病院関係者と見られる人等で賑わっていた。
とりあえず、外がよく見える窓際の席を確保する。

「ねぇ、今日の匠先生いつもと違うよね」
名前が聞こえて、思わず聞き耳を立てる。
「分かる。地味にお洒落なんだよね」
そうか。お洒落なんだ。
なんだかニヤけてきた。
「さっき陽子先生来てたし、来てからからそわそわしてるし」
えっ…。
「あっ、噂をすれば出てきた。
ラブラブじゃん。
たぶん、夜会うんじゃない。なのに休み時間まで一緒にいたいのかなぁ♡」

匠先生の腕にぶら下がってる。
来なきゃ良かった。
やっぱりお似合いだよね。
夜、まだ連絡は無いけどドタキャンされるような気持ちになってきた。
友達であって恋人ではない。
自分からお願いしておいて、焼きもちなんか焼いてたらダメでしょ。
見なきゃ良かった。
やっぱりサプライズは私には似合わない。

その時ふと、匠先生と目が合った…、ような気がした。

来なきゃ良かった。
どうして来てしまったんだろう。


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