Bitter Love〜無愛想な上司を助けたら、なぜか溺愛生活始まりました〜
先生が厳しくて、誰にも容赦ないことはみんな知っている。先生は、かなり腕がいい医者として有名だ。
この総合病院院長の息子として生まれ、医者になるためにずっと勉強してきたらしい。それゆえ、他人に厳しく、自分に厳しくの性格だ。
ちょっとしたミスはやった本人が気づくまでは指摘しない。
他人にはあまり興味が無い。
興味があるとすれば、手術と病院、医療のこと。そのため、同僚……というか、歳が近い人とでも話しているところを見ることは無かった。
話すこととしては主に業務連絡のみ。
だから、虹原先生と一昨日、あんなことがあったなんて未だに信じられない。しかも私のことを好きだなんて……。
「そ、そうなんだ……。機嫌悪いのはいつもの事じゃない?」
若干心当たりがあるところだけど、それは全力で隠した。多分、いや、確実に私のことだろう。
挨拶もせずに置き手紙だけ残して帰ってしまった。