Bitter Love〜無愛想な上司を助けたら、なぜか溺愛生活始まりました〜
「大丈夫?あのこわーい虹原先生(にじはら)に仕事押し付けられてない?あの人、ただでさえ人使い荒いとこあるから……」
キョロキョロと当たりを見渡しながらコソッと耳打ちしてくる。
虹原先生とは、私の上司でもあり、この病院の医者でもある。なんでもここの院長の息子なんだとか。
確かに人使い荒いし、無愛想で怖くて、あまりいい噂はないけど……。
「まぁ、仕事だからしょうがないよ。腕がいいのは確かだし。それに、急患が来たのは虹原先生のせいじゃないしね」
虹原先生のことをよく思っていない華の言いぶりに思わず苦笑い。
私は別にそこまで嫌ってはないけど……。
“苦手”な人の部類には入るかな。
「華、そろそろ時間じゃない?」
スマホをチェックしながら華にそれとなく時間を見せる。先生の悪口?噂?みたいなのはあまり好きじゃないから、話をそらす。
「あっ、ほんとだ!やばー、遅れる!陽葵、ゆっくり休みなよ!」
「ありがとう」