Bitter Love〜無愛想な上司を助けたら、なぜか溺愛生活始まりました〜
和馬さんとデートってだけで緊張するかと思ったけど、全然そんなことはなくて。むしろリラックスして楽しめた。
それは全部和馬さんのおかげだと思う。
「こちらこそデートに誘ってくれてありがとう。まさか陽葵から誘われるとは思わなかった」
2人並んで歩く駅までの道のり。
その光景が、少し寂しく感じたのは、私だけだろうか……。
「いえ。私の方こそありがとうございます。とても楽しかった、し、最高でした」
心做しか、歩く速度がゆっくりになる。
私は、自分の気持ちをいつ伝えようかと迷っていた。実はまだ自分の気持ちを話せていない。
何度かチャンスはあったんだけど、なかなか言い出せなくて今の時間まで話せなかった。
和馬さんはちゃんと伝えてくれたのに。
私、本当に情けない……。
「……陽葵」
「はい」
どうしよう、とずっと考え込んでいると、和馬さんに名前を呼ばれる。