離縁された出戻り令嬢ですが、極上社長から最愛妻に指名されました。
告白
「――あ、早かったね。もあちゃん」
パーティーが終わり、ドレスを脱ぎ綺麗にセットされた髪を解いてバスルームへ行きシャワーを浴びて急いで出ると彼が待つベッドへ向かった。
彼は、パジャマではないのに色気がすごい。
「俺も浴びてくる。座って待ってて」
「は、はい」
紬翔さんがバスルームへ行ったのを確認すると、ベッドに座る。
「ふぅー……終わったんだなぁ」
私は部屋から見える夜景を見ながら、パーティーでのことを思い出していた。
お義父様は、私たちをさらりと見て微笑んでから元夫たちをギロリと見れば元夫は震え上がっていた。そりゃそうだ、あの人は肩書きだけの人間で仕事できないくせにチヤホヤされてえらそうにしていたしご両親からも甘やかされ怒られたことなくて何かあれば庇ってもらっていたボンボンで何かあればご両親を呼んでいたことを思い出してよく一年保ったなと思ってしまった。
それに紬翔さんが最上級の営業スマイルでニコッと彼らに笑いかけ「現在、取引の見直しをしておりましていつか機会があれば是非にと白浜社長にお伝えください」と言った。
優しく言ったが、ここまで言えば状況が分かったらしく走って元夫はどこかに行ってしまい従姉は知らない間に消えていてなんだかスッとしたのはここだけの話だ。
「お待たせ」
十五分ほどで戻ってきた紬翔さんはタオルで頭を拭いているが濡れているから妙に色っぽい。これぞ水の滴るいい男なんだろう。
「おかえりなさい。紬翔さん、今日はありがとうございました」
「お礼はいいよ。こちらとしても、一から取引先の見直しが出来て良かったから」
「そうなら嬉しいですけど……あ、実家はどうなりました?」
「花木グループは藤臣の下に入ってもらうことになった。元々、借金もあったし社長は経営には向いてなかったらしい」
紬翔さんは嬉しそうな表情を見せて「これで、もあちゃんのご両親に挨拶が出来そうだ」と優しい声で呟いた。
「あの、紬翔さん。伝えたいことがあります……聞いてくれますか?」
「……ん? どうした?」
「私も、ずっと紬翔さんが好きだったんですよ。かっこよくて王子様みたいで……初恋でした。結婚しても、出戻っても、忘れられなくて」
「え、でも最初は乗り気じゃなかったよね?」
「自信がなかったんです。久しぶりに会ってプロポーズされて嬉しかった。立派な貴方に比べて、私は前社長の娘でしかなくてその上出戻った娘。釣り合わないと思ったから」
だけど、結婚して毎日彼は好きだって言ってくれていろんな場所に連れ出してくれた。趣味の刺繍も褒めてくれてそれを仕事に出来るように整えてくれて、毎日が楽しくて好きにならないなんて無理な話だった。
「私は、紬翔さんのことが大好きです。これからも末永くよろしくお願いしますっ」
自分で言って恥ずかしくなり下を向いたが、すぐ彼の手が私の頬に触れた。
「……嬉しい」
頬に触れられて彼を見ると、見たことのないくらいに耳まで真っ赤にしていた。
「すごい嬉しい。もあちゃん……俺も大好きだよ。キスしていい?」
「はいっ……お待たせしてごめんなさい」
彼はこの三ヶ月、私の気持ちがないままは嫌だと言って触れることはなかった。
「……んんっ」
「桃逢、愛してるよ」
キスを交わし、それだけで幸せだと実感する。
「二人で幸せになりましょう」
「皆が羨むくらい、幸せにするよ」
どちらからというわけでもなく唇を重ねて、甘いキスをした。
――END――