【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)


「あなたには、心ってものがないんですか?」

 片霧先生の言葉が悪魔のように聞こえてしまう。

「心があったら病気を治せるのか?」

「そのために、新薬が開発されてるんですよ? 使わない手はないですよね?」

「バカバカしい。とっとと帰れ゙美耶子ちゃん゙」

 ……ムカつく! あの言い方、本当にムカつく!

「はいはい。言われなくても帰りますよ! 失礼しました!」  

 もう!なんなの! あの人は本当に心がない。
 ムカつくことしか言わないじゃない!

「あ~腹立つ!」

 片霧先生のことをちょっとでもいい人だと思った私がバカだった。
 あの人は悪魔の天才外科医だ。悪魔よ、悪魔!




「なんなの、あの人!」

「美耶子、大丈夫かよ」

 その日の仕事終わり、早崎と飲みに行って愚痴を聞いてもらった。

「あの人は本当に悪魔だよ。……人の心がない」

「だから言っただろ。片霧先生は薬なんて信じてないって」

「……あの人は自分の腕しか信じてないもんね」

 片霧先生がいい人なのかも、もうわからなくなってきた。
 
「バカだね、美耶子。片霧先生に取り入ろうなんて、絶対にやめたほうがいいって」

 早崎はそう言うけど、私には片霧先生がそこまで悪い人だとは思えなかったんだけどな……。

「……うーん」

「外科より内科のが使ってもらいやすいしな、実際には」
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