【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
私はビールを飲み直し、「そうだね」と答えた。
「あんま気にすんなよ、あの人のことは」
「……うん」
早崎の言うとおりだ。あの人は心がないし、自分の腕しか信じてないんだから、諦めるべきだよね。
「美耶子は美耶子らしくいればいいよ」
「うん、ありがとう」
早崎は優しいから、いつもこうして私のことを慰めてくれる。
「じゃあね、早崎。また明日」
「おう。また明日」
早崎と別れた後、家に帰るため歩き出す。
「あれ……? 片霧先生?」
見覚えのあるその後ろ姿は、やはり片霧先生だった。
「あ?……なんだ、またお前かよ」
またお前かよ、はこっちのセリフなんですがね。
「あの、何されてたんですか?」
「一人で飲んでただけだ」
「そうなんですか」
一人で飲んでるなんて……寂しくないのかな?
「なんだ。俺のことじっと見て」
「あ、いえ。……何でもないです」
片霧先生、見た目はすごくカッコイイんだけどな。 スラッとしていて、背も高くて。
でも性格は悪魔……なんだけど。
「もしかして、気にしてんのか?」
「……え?」
片霧先生は私に「昼間俺が言ったことを気にしてんのか。って言ってんだよ」と言われる。
いや、まあ、気にはしてるけど……。
「別に気にしてません」
「ウソつけ。滲み出てるぞ」