【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)


 片霧先生は「なら大人しく掴まっとけ」と言ってくる。

「はい……」

 お姫様だっこされているこの状況が妙に恥ずかしくて、ドキドキしてしまう。

「俺の家でいいか?」

「はっ!?」

 えっ!片霧先生の家……!? む、無理無理!

「無理ですっ」

「おい、動くな!危ないだろうが」

「……すみません」

 これは動揺してしまうでしょ!? お、俺の家でいいか、なんて!
 動揺しない訳がないって……!

 そのままタクシーを拾い上げた片霧先生は、片霧先生の家へと向かっていく。
 タクシーに乗ること十五分ほどで、片霧先生の家に到着した。

「ほら、上がれ」

「お……邪魔します」

 家に上がると、片霧先生は「水持ってくるから、そこに座ってろ」と私をソファに座るように促す。

「は、はい」

 片霧先生の家のソファはふかふかで、座り心地が良かった。

「ほら、水と解熱剤」

「ありがとうございます」

 お水と解熱剤を渡されたので、それを飲んだ。

「大丈夫か?」

「はい」

 片霧先生の家……シンプルだな。モノトーンの部屋は、なんだかスッキリして見える。

「あの……なんで私を?」

「病人なんだから、当たり前だろ」

「病人……」
 
 片霧先生は私を病人扱いしてるみたいだ。

「とりあえず、熱下がるまでそこで寝とけ」

 と片霧先生が寝てるであろう、ベッドを指差される。
< 32 / 43 >

この作品をシェア

pagetop