【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
片霧先生は「なら大人しく掴まっとけ」と言ってくる。
「はい……」
お姫様だっこされているこの状況が妙に恥ずかしくて、ドキドキしてしまう。
「俺の家でいいか?」
「はっ!?」
えっ!片霧先生の家……!? む、無理無理!
「無理ですっ」
「おい、動くな!危ないだろうが」
「……すみません」
これは動揺してしまうでしょ!? お、俺の家でいいか、なんて!
動揺しない訳がないって……!
そのままタクシーを拾い上げた片霧先生は、片霧先生の家へと向かっていく。
タクシーに乗ること十五分ほどで、片霧先生の家に到着した。
「ほら、上がれ」
「お……邪魔します」
家に上がると、片霧先生は「水持ってくるから、そこに座ってろ」と私をソファに座るように促す。
「は、はい」
片霧先生の家のソファはふかふかで、座り心地が良かった。
「ほら、水と解熱剤」
「ありがとうございます」
お水と解熱剤を渡されたので、それを飲んだ。
「大丈夫か?」
「はい」
片霧先生の家……シンプルだな。モノトーンの部屋は、なんだかスッキリして見える。
「あの……なんで私を?」
「病人なんだから、当たり前だろ」
「病人……」
片霧先生は私を病人扱いしてるみたいだ。
「とりあえず、熱下がるまでそこで寝とけ」
と片霧先生が寝てるであろう、ベッドを指差される。