【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
「……え、でも」
「いいから、寝とけ」
そう言われた私は、思わず「も、もう大丈夫ですから!」と立ち上がったが、立ち上がった瞬間にふらっとしてしまい、よろけてしまった。
「きゃっ……!」
よろけた身体は、片霧先生の身体によって抱きとめられた。
「ほら、やっぱり。大丈夫じゃないだろうが」
片霧先生のその身体は大きくて、がっしりとしていた。
「ほら、熱下がるまで寝とけ」
ベッドに寝かせてくれる片霧先生の瞳から目が離せなくて、私は思わず片霧先生の腕を掴んでしまった。
「……おい?どうした?」
「ここに……いてほしいです」
どうしては分からないけど、私は片霧先生がそばにいてほしいと思ってしまう。
「片霧先生……私ね……」
どうしてかな……。私、なんか変なんだ。
熱があるから、かな……?
「……いいから、黙って寝とけ」
私に布団をかけてくれる片霧先生が、あまりにも優しくて、変な気持ちになってしまう。
「待ってっ……」
私は片霧先生の服の袖を引っ張って、片霧先生の身体を引き寄せた。
「どうした?」
私はベッドから起き上がると、片霧先生に「あの、私……あなたのこと……」と伝えた。
「……なんだよ?」
このドキドキの正体を、私はきっと知っている。
私は自分の顔を近付けると、片霧先生の唇に自分の唇を重ね合わせた。