【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
「ん……っ」
「っ……!」
ビックリした……!
「……起きたか?」
「あ……はい」
横顔を眺めていたら、片霧先生が起きてしまった。
「体調はどうだ?」
「……少し、楽になった気がします」
「そうか」
ソファから起き上がった片霧先生は、私のおでこにコツンと顔をくっつけてくる。
「まだ少し、熱あるな」
「そう……ですか?」
「食欲あるか?」
「少しなら……あります」
片霧先生は「ちょっと待ってろ」と言い、キッチンから何やら鍋を取り出した。
「うどんなら食べられそうか?」
「はい……多分」
「うどん作ってやるから、座って待ってろ」
片霧先生が優しくそう言ってくれるから、私も「はい……待ってます」とソファに腰掛けた。
悪魔だと思ってた。人の心がないと思ってた。
でも本当は、すごく優しい人なんだよね、あの人は。
悪魔の天才外科医でもいい。私は、この人だから好きになったのかもしれない。
「あの……」
私は片霧先生のそばへ歩み寄っていく。
「どうした?」
「私……あなたのことが好きです」
片霧先生は私の方に振り返った後、私の頭を撫でる。
「そうか。俺のことが好きか」
「……はい」
片霧先生は、本当は心のない人なんかじゃない。 本当はすごく、優しい人だ。
悪魔でもいい。 私は、この人のことが好き。