【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
早崎にそう言われて、私は「まあ……片霧先生、カッコイイし」と答えた。
「なんだ。顔で選んだのか?」
「違うよ。そんなんじゃない。片霧先生は優しい人だよ、ああ見えて」
私がそう言うと、早崎は「へえ? 優しいんだ、あの人」とコーヒーを飲んでいる。
「うん、優しいよ。……私には」
「相当惚れてるんだ、あの悪魔に」
私は早崎に「悪魔って言わないでよ」と伝えるが、「しかしなんで、アイツなんだよ? どこが好きな訳?」と詳しく聞かれる。
「え?……優しい所とか?」
「あの人が優しいとか、信じられないな」
早崎は片霧先生に対してあまりいい印象がないみたいで、私と片霧先生が付き合ってることすら不思議なようだ。
「本当に、優しいのよ」
「ふーん? まさか悪魔の天才外科医が、美耶子を選ぶとはねえ」
コーヒーを飲んでいる早崎に、私は「なによ。意外って顔しないでよ」と早崎を見た。
「いや、意外だろ? あんな恋愛に興味のなさそうな天才外科医が、まさかお前と付き合うなんて、今でも信じられないわ」
早崎にそう言われて、私は「失礼な。私たち、ちゃんと付き合ってるから」と早崎の肩を叩く。
「ま、もちろん信じるけどさ」
「片霧先生のこと、最初は怖い人だと思ってたんだけどさ、私も。……あの人は、本当は優しい人なんだよ」
「はいはい。ごちそうさま」
早崎は早々にデスクへと戻っていく。