【完結】婚約破棄したら意地悪悪魔に目を付けられました!?(仮)
「え……? 婚約破棄?」
私は母親に、婚約破棄をしたことを電話で告げた。
「うん」
「ちょっと、どういうこと? 婚約破棄って……何があったの?美耶子」
母親からそう言われた私は、「うん、まあ……ちょっと色々あって、別れることになった」と答えるしかなかった。
「色々って……アンタ、本当にそれで良かったの?」
「良かったんだよ……きっと」
それが椿のためになるなら、きっとそうするべきだったんだ。
「美耶子……」
「私なら大丈夫だよ、お母さん。 だから、気にしないでね」
私は極力、明るく振る舞うことしか出来なかった。
「美耶子……なんかあったら、いつでも連絡しなさいね」
「うん。ありがとう」
私は今日、大切な人を失った。 ずっとずっと大切だった愛おしい人を、失った。
これ以上ない幸せだと、そう思っていたのに。
私はこれから、どうやって生きていけばいいのだろうか。
どうやって、これからの日々を過ごしていけばいいのだろうか。
私には、これから幸せになれる日が、来るのだろうかーーー。
「あーあ……」
何もかもを失った私に、希望の光が差し込むのは、もう少し先の話ーーー。
✱ ✱ ✱