隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて


 岩本君がアメリカに行ってから一ヶ月後、私の作品は無事コンペで選ばれた。
 そして正式にゲームパッケージとしてクライアントに案を提出することになった。
 修正や予算案を詰めていく作業があり、連日残業続きだったけれど、夢を叶えるために私は奮闘していた。
 クライアントに無事に提出し、素晴らしいアイディアだと絶賛されて来年の春に発売されることになった。
『おめでとうございます』
 パソコンの画面に映っているのは、オンラインでつながっている岩本君だ。お祝いだからと彼はシャンパンを手に持っている。
 私が寂しくないように頻繁にメッセージを送ってくれて、時間が合う時はオンラインで話をしているから遠い地にいるという感じはしなかった。
『ご友人も喜んでくれていますね』
「うん。ゲームが発売されたらお墓に行ってこようと思ってるの」
『真歩さんが頑張っている姿が自分にもいい刺激になってますよ』
「私こそ、岩本君のおかげ」
『そうですか? では、ご褒美に愛の言葉を言ってもらってもいいですか?』
「えっ?」
 いつもこうして突拍子のないことを言うのだ。ドキドキさせられて、彼と過ごしていると毎日がいろいろな色に染まっていく気がする。
 今は例えて言うならショッキングピンクという感じだ。
『ほら、言ってください』
「……あ、愛してる。おやすみなさい」
 あまりにも恥ずかしくて私はオンラインの終了ボタンを押してしまった。
 遠距離恋愛だけどお互いに心が結ばれているのを実感していた。
 切磋琢磨していける相手とこれからも一緒に成長していきたい。
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