隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて

 翌日、実際に商品が届き段ボールを開く。部署内のメンバーも集まってきて中身を確認していた。
 私が考えたデザインがゲームのパッケージとなっていて、実際に手に持つと言葉では表すことができない感動が胸いっぱいに広がった。
「すごいですね!」
「おめでとうございます」
「いいか? 皆も頑張ったら、こういう結果を出すことができるんだぞ」
 課長が言うと後輩社員たちの瞳がキラキラと輝きだした。諦めないで続けて夢を叶えることができて本当に嬉しかった。
 仕事を終えて家電量販店のおもちゃ売り場に足を運ぶ。
 本当に並んでいるのかなと緊張しながら行ってみたら、特設コーナーは設置されており、しっかりと商品が並べられていた。これを見て本当に夢が叶ったんだと実感した。
 買い物に来ている仕事帰りのサラリーマンや、子供を連れた人がゲームを次々と手に取っていく。
 ゲームの内容はかなり楽しそうで私もプレイしてみたい。
 幸せそうに嬉しそうに、ゲームを手に取ってレジへ向かう姿が印象的だった。
 この感動をどうしても愛する人に伝えたくて、私はスマホで電話をかけていた。すぐに岩本君が電話に出てくれる。
「今大丈夫?」
『そろそろ電話をしようと思っていた頃ですよ。今日は商品が発売日でしたね。本当におめでとうございます』
「家電量販店に見に来たんだけど、特設コーナーが設置されていたの」
『素晴らしいですね。隣で一緒に見たかったな』
「……そうだね。帰ってきたら一緒にゲームしてみない?」
『それはいい考えですね』
「うんっ」
 休日には亜希子のお墓で手を合わせて報告をしてくることもできた。
 その後、クライアントから連絡が来て売れ行きは好調とのことだった。連日のようにテレビや雑誌でも紹介され、売り上げがどんどんと上昇していく。
 そのうちにパッケージデザインのことまで注目してもらえるようになった。
 私はアイディアを考えた発案者ということでインタビューを受けることもしばしば。人前に立つのはあまり得意ではないけれど、会社のために役に立てるならと協力することにしていた。
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