隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて

 翌日の授賞式では、直接社長から賞状を受け取った。
 その後はホテルで立食パーティーが開かれて、たくさんの仲間に祝福してもらった。
 途中、社長に声をかけられて少し席を外す。何を言われるのかと緊張して後ろをついて行った。
 用意されていたのはソファーとテーブルがある歓談室だ。
「手短に話したいから立ったままで」
「わかりました」
「詳しくはまた今度ゆっくり話をしようと思っているのだが」
 緊張でつばをゴクッと飲んだ。
「素晴らしい活躍本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
「……圭介もかなり頑張ってくれて、跡取りとして任せることができると思うようになっているんだ。一人息子だから心配でたまらなくてね」
 私は社長の話に耳を傾けていた。
「まだ少し早いが、こうして成長した圭介なら家庭を持ってもいいかと思っているんだ。息子をお願いしてもいいかな?」
 まさかお許しをいただけるなんて思わずに私は固まってしまった。
 するとそこに岩本君が入ってくる。
 二人で話しているところを見てかなり焦り、私の前に守るように立ってくれた。
「お父さん、真歩さんに何をする気ですかっ!?」
 社長は面白そうに笑って冗談を言うのだ。
「相野さんに大事な話をしようと思って呼び出した」
「父さんがどんなに反対しても、僕たちの関係は崩れることはありません! 昨日プロポーズさせていただきました」
 反対されると思っているようでかなり必死だ。
 社長は嬉しそうな顔をして大きく拍手をしてくれた。
「もうプロポーズまでしたのか? それはよかった。おめでとう」
「え?」
 混乱している岩本君に私は説明をした。
 社長が私たちの結婚を認めてくれたと伝えると、こわばっていた顔が柔らかくなって、今まで見た中で一番素敵な笑顔を見せてくれた。
   完
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