隠れ御曹司の溺愛に身も心も包まれて
ネットカフェではシャワーを浴びることができたので、着替えをして出てきたが、いつもより少し多めの荷物を持って出勤した。ちょっとした小旅行をしている人みたいだ。
オフィスに到着してロッカーにバッグを詰めた。
朝食はネットカフェでスープバーを少し飲んだだけ。こんなんでは、絶対に体が持たない。しかし、あの家に戻るのは何が何でもに嫌だった。
頭が呆然としている。
「おはようございます」
部署に入るとさっそく修一郎と目が合う。気まずい。岩本君に告白されたよりもずっと気まずい!
修一郎が近づいてきて私にしか聞こえない声で言った。
「意地張ってないで、戻ってきてもいいんだぞ?」
「私は本気よ。プライベートの話はやめて」
もう私は修一郎の所有物ではないのに話しかけてくるなんて腹が立つ。そのせいでちょっとだけ声が大きくなってしまった。
「おはようございます」
岩本君が隣の席にやってきたが笑顔がいびつだ。もしかしたら今の会話を聞かれていたかもしれない。
修一郎はムッとしながら自分の席に戻った。