イケメン双子と、甘く激しい攻防線。
1st Fight

イケメン双子と甘い契約

「私、やっぱり東中学校に行くことにした」


3月末のある昼時。潮時だろうと思って遂に告げると、2人は勢いよくこちらを向いた。

その顔はどちらも信じられないという驚きで染まっている。


「は?なんて?」

「東中に行くって、……今のは僕の幻聴だよね?」

「ああ、そうに違いない。きっとそうだ」

「うん、そうだよね」


いや、いやいやいや。なんでそこまで信じてくれないの?

2人はなぜか勝手に間違った答えを出し、そうだそうだと頷き合う。私はそれを何とも言えない気持ちで見ていた。


「あの、お2人さん。信じてもらえてないようで若干悲しいんだけど、今のは本当のことだよ。幻聴じゃないし、嘘でもない」


次の瞬間、2人の表情が固まった。パキッと凍ったと言ったほうが伝わりやすいかもしれない。

いつ2人にこのことを話そうかと考えていたけれど、今がいいと思った。2人が穏やかな時に話すのがベストな内容だったから。


「……嘘でしょ」

「……終わった」


ようやく現実が見えたのか、2人は絶望した表情で呟く。これからの反応が正直怖い。

だって、この双子たちは。


「僕、みいちゃんがいないと何もできないのに!みいちゃんがいない日常なんて、つまらなすぎて死んだほうがマシってくらいなのに!」

「俺らに嘘ついてたってわけか。……実衣菜のこと、信じてたのに。裏切るなんて、酷い奴」


───私、巫実衣菜に、執着してる。


「ふ、2人とも、とりあえず落ち着いて〜。ほら、大きく息を吸って、吐いてー、そしたらあら不思議!気持ちが落ち着、」

「「かねえよ!!」」


わあ怖い。
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