イケメン双子と、甘く激しい攻防線。
どうしよう。ここまで懇願するのにも、何か大切な理由があるんだろうし、……。

ちゃんと考えて、自分を最優先にした結果、出せた結論。それは、


「分かりました。それじゃあ私、今日から東中学校合格を目指します」


私は言った。言ってしまった。だからこれは絶対にやり遂げなければならない。

……それが、2人を裏切るような行為だとしても。

それから受験勉強に勤しむ日々を過ごし、いざ、本番。問題はここからだったりする。今までは何とか隠せていたけれど、2人と当日一緒に南中に受験に受けに行く予定があったのだ。

その問題をどうやって解決しよう……。私は1人東中に向かわなくちゃいけない。


──そうだ。

私の頭に、あるアイデアが浮かんだ。

「あの、綾乃さん。ちょっといいですか」


これは綾乃さんの協力がなければできないことだった。私の緊張した雰囲気を感じ取ったのか、綾乃さんも真剣な表情で頷いた。

私が考案したアイデアは、こういうものだった。


1、熱を出したフリをして、後日受験をするという話に持っていく。

2、2人が南中に向かったのを確認してから、部屋で事前に制服に着替えていた私はすぐに東中へ。

3、受験を終え、2人よりも先に帰宅。それができなかったら綾乃さんとタッグを組んで2人を私が寝ている(本当は寝ていない)寝室に近づけさせないで、私はこっそりとベランダの窓から侵入。

4、制服を脱いでどこかに隠し、私服に着替え、リビングであたかもずっと寛いでましたよ感を出す。


……正直、これが本当にできるかは分からない。

だけど、ここまでしなければあの2人を欺けないというのも事実。

一筋縄ではいかない2人のことだ。

作戦決行の日、「俺達も休む」なんて言われたらたまったもんじゃない。


───そして、私と綾乃さんは見事に作戦を成功させた。
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