夜の姫は、夜王子の夢を見る。
 そんな亜嵐くんの行動に、私はいとも簡単に発情してしまう。

 なんでか、私は亜嵐くんが体に触れるたび、びくんっと体が反応して発情状態になってしまうのだ。

「あら、ん、くん……っ」

「もう発情しちゃったの? 本当、敏感」

「やっ……亜嵐く、そこ……だめっ……」

 私の首を、ぺろりと舐める。

 ぞわっ……と首から体中を駆け巡る亜嵐くんの体温。

 ちゅうっ。

 そんなことで発情していた私を、亜嵐くんは牙を立てて血を吸った。

 冷たい亜嵐くんの牙が首に当たって、やっぱり私は顔を熱くさせる。

「ん、じゃあ、契約部屋行こっか?」

 そう、誰にも見せないような甘い声で私をお姫様抱っこした亜嵐くんは、私達が自由に使えるようになった契約部屋へ向かった。

○o。.◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇.。o○

 そして、私の発情が収まるまでキスを繰り返しやったら。

 疲れ果てたのか、私達はすやすやと眠った。

 が……私はまた、雲の上。

 ―ここ……まさ、か……。

 私はさああっと顔を青くさせる。

 ここは前の夢で、私が落ちて亜嵐くんに助けられたところ。

「嫌っ……亜嵐くん、助けてっ……」

 声を出しても、誰も来てくれない。

 また私は、落ちるのだろう。

 しゃぼん玉に包まれた私の体は、ゆっくりと上昇していき……。

 ぱちんっ。

 弾けて、私を落とす。

 でも、今度はちょっと違った。

 すっ、と助けに来てくれたのは、亜嵐くんだったのだが。

 リアルに感じられる、亜嵐くんの体温。

 そんなことにどきっと心臓が爆発しそうになる。

 そして、次の瞬間。

「サラっち⁉」

「サラっ」

 来てくれたのは、夜冥くんと日菜くん。

 ―えっ……ど、どうして、夜冥くんと日菜くんが……?

 この夢、そしてこの運命は私の縁関係で変わる。

 そう誰かが伝えているような気がした。

「さっちゃん!」

「大丈夫⁉」

「心配しないで、私達がいるよ!」

「み、みんな……?」

 なんでかあっちゃん、ひーちゃん、ゆっちゃんが私を助けに来てくれている。

「おい、さらっとサラに触るんじゃねえよ。サラは俺のだ」

「え? いつサラっちが夜王のものだって決まったの? まあ僕はひよりんが一番だけど!」

「そうだ。夜姫はまだお前のものだと決まったわけじゃない。この学園を卒業してから正式にお前のものになるだろ」

 空中で、黒い吸血鬼の羽を羽ばたかせながら口喧嘩するみんな。

 でも、突然私の体はふわっと浮いて亜嵐くんの腕から離れて、雲の下に落ちていき……。

「サラ⁉」

 そこで、夢は終わってしまったのだった―。
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