夜の姫は、夜王子の夢を見る。
 でもなんでか亜嵐くんは驚かず、やっぱりという笑みを浮かべた。

「知ってる。聞いたから」

「えっ、どういうことっ……⁉」

「俺のあと一つの特殊能力、あるって言ったじゃん。それが、心の声を聞くことなんだよ。で、空中に浮いてる途中聞いたってわけ」

「ぬっ、盗み聞きはだめ……っ!」

「悪い悪い」

 ―絶対反省してないよ……!

 ぷくっと頬をふくらませる私を、愛おしげに亜嵐くんは見つめて。

 そんな瞳に、私はきゅんと胸が飛び跳ねちゃって。

「亜嵐、くん……」

「ね、サラ。俺と付き合って」

 私の手を取り、ちゅっと手の甲にキスする。

 熱い亜嵐くんの体温が、伝わってくる。

「よろ、こんでっ……」

 私はぎゅうっと亜嵐くんを抱き締めた。

 大好きだよ、と伝えながら―。

Fin.
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