夜の姫は、夜王子の夢を見る。
「ぐー、ぐー、ぐー……」

「むにゃ……」

 日菜くんとひーちゃんの、大きい鼾が耳に届いた。

 明け方という頃、私達はぐっすり眠っていた体を起こした。

 鍋を食べたあと、昨日はすぐにみんなぱたんと気絶するように寝てしまった。

「みんな、疲れたんだろうな……」

 ぼそっと独り言を呟いて、持ってきた衣服に着替える。

 ―ふふっ、それにしても、真っ赤なのにあんな美味しいなんて……本当に私達天才なのかなっ?

 夢みたいなことを本気で思いながら、私はくすっとみんなが寝ている部屋とは違う、寝室で着替える。

 そして着替え終わったら、ソファにぽとん、と座った。

 ファリアンヌが、ぴーぴー、また鳴いている。

 ファリアンヌの鳴き声を聞いたらその日、幸せになるという言い伝えが合って、前聞いたけれど本当にそのあと幸せになれた。

 今日も聞いたということは……今日も、このあとも幸せになれるのだろうか。

 そんな幸せを噛み締めて、外を眺めると。

 ぽろぽろ。

 真っ白な雪が、空から降ってきた。

 ちょっと遅れた、ホワイトクリスマス。

「ん……おはよ、サラ」

「あ、おはよう、亜嵐くん」

 のっそりと起きてきた亜嵐くんと、一緒に並んでソファに座る。

 ―綺麗……。

「ホワイトクリスマスだよ、亜嵐くん」

「ん」

 ちゅっと私の頬にキスを落とし、肩に寄りかかってくる。

 みんなといることも幸せだけど、やっぱり亜嵐くんといるときが一番幸せ。

 そして私は、用意していた亜嵐くんへのクリスマスプレゼントを渡した。

 その中身は……お揃いのリング。

 いわゆるペアリングというもの。

「亜嵐くん……これからも、一緒にいようね」

「サラ……ありがとう」

 また亜嵐くんは、愛おしそうに頬にキスを落とした―。
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